リハビリやレクリエーションを行うなかで、特に体を動かす工夫を行うことは、介護事業所で高齢者の転倒予防に良い影響を与える。
しかし、それだけでは完全に転倒を予防できるわけではない。
介護事業所内は、自宅と違ってリノリウム床やカーペット、段差など転倒しやすい環境がある。
建物内の転倒リスクを検討し、できる限り排除するよう改修を進めて行くとよいだろう。

手すりを準備する、自立歩行が難しい利用者のために歩行器を準備するなどの工夫も必要になる。
もちろん、すべての利用者にこれらの装備が有益だとは限らない。
フレキシブルに対応できるよう、LIFE(科学的介護情報システム)を活用してどのようなアプローチをするのが良いか模索することも一案である。

特に科学的介護を取り入れることで、全国各地の介護例を検索可能だ。
必要な介護プランのアセスメントも可能なので、より良い介護を目指せるようになる。
また、LIFEの利用によって介護報酬の算定も変わるので、働きやすさだけではなく増収につながるメリットも得られるだろう。

そこで忘れてはいけないのが、転倒予防策を講じても利用者の転倒リスクは避けられない点である。
老年症候群の一つの症状が転倒であることを踏まえ、利用者家族や介護スタッフそれぞれが意識を共有することも必要である。
転倒予防のための工夫を取り入れている事業所の取り組みを提示することや、万一転倒事故が起こった場合は、どうして転倒したか、どうしたら避けられていたかを調査し報告することも必要となる。