高齢者による転倒事故の発生場所で最も多い場所の一つが、自宅である。
意外に思う人も多いかもしれないが、家の中にばかりいると筋力の衰えが著しくなるからだ。
どうして住み慣れた家で転倒してしまうのか、理由と予防策を考える。

65歳を超えると、筋力の衰えが著しくなってくる。
これは老化現象の一つだが、元気な人ほど自分の筋肉の変化を過信してしまうようだ。
その理由には、脳と体とのズレが生じる事があげられる。
神経には、感覚器官と行動器官が備わっており、行動器官によって手足が「意識によって」動かされている。しかし、体の筋肉や脂肪は年齢とともに弱くなり自分が思っている肉体の可動域が狭くなってくるのだ。

つまり、不注意ではなく「自分は足を上げているつもりなのに上がっていない」のは、筋肉量の減少による可動域の縮小が原因である。
では、転倒を予防するにはどうしたらいいか。
一つ目の転倒予防策は筋力を増やすことである。
時間はかかるが、運動とたんぱく質をとることによって筋力は何歳になってからでもつけることができる。
足腰の痛みなども、コレステロールが高すぎるため運動すると緩和される症状もある。
家の中だけでは、運動量が足りないのだ。

筋力をつけるのは運動だけではなく、体の中のたんぱく質成分が足りないため、卵の白身やプロテインなどを積極的に摂取するのも必要だ。
もう1つの転倒予防策は、家の改造である。
床の溝など、段差があるところにはスロープを追加しフラットにする。
また、階段や玄関など足をあげる場所には手すりをつくるのがいいだろう。